ある年配のタイのファミリービジネス・オーナーが日本人のビジネス・パートナーに食事を振舞う席で、食事が済んだ頃になって「ビールをお出しするのを忘れていた!」と焦りながら、こんな話をして下さいました。
「自分は大学1年生の時に初めてお酒を飲んで、酔い潰れてしまいました。母に泣かれて、以降お酒は飲まないと誓ったんです。普段飲まないから、忘れてしまいました」と。
この人はこんな年齢になるまで、誰にも否定されることなくこの理由を語り続けてきたんだろうな、とタイ社会の温かさを再確認した瞬間でした。
大前提として、タイではお酒を飲む人もいれば飲まない人もいます。
母親思いのこの方だけでなく、イスラム教徒や信仰熱心な仏教徒も飲酒しないので、日本人がホストでタイ人のゲストを呼ぶ場合、相手が飲む人なのか、事前確認をした方が良いかもしれません。

日本では乾杯をするまで何も口にしないという暗黙のルールがありますが、タイではこんな決まりはありません。「目上の人が先に食べてから頂く」という習慣もないので、老若男女関わらず自由に食べ始め、自由に飲み始めます。
普通の食事会では、そもそも乾杯をする場面がありません。
結婚式などでは乾杯の音頭をとる人がいますが、出席者は乾杯の前から飲み始めているのが普通です。
タイ語で乾杯は、「チャイヨー! ชัยโย」と言います。
乾杯の音頭を取る人が「チャイ!ชัย」と発声し、一同が「ヨー!โย」と唱和するのを3回繰り返します。

日本ではお互いにお酌し合いながら飲みますが、タイではお店の人がついでくれるか、手酌で飲む場合が多いです。
特に、素人の女性がお酌をするのはあまり好まれません。
「ホステスじゃないんだから、そんなことしないで」と注意されることもあるくらいです。
人のことは構わずマイペースで飲むのがタイ流です。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)